横浜 編
第十一回1998/07/23 19:43:18
さあ、やってまいりましたJuJu
ユウ、チュウニ、ケイジの一行は鈍行に乗り新横浜へ向かっていた。目指すは12個あるというセンチストーンの一つ。
ケイジはあれからひどく落ち込んでいた。無理もない、目の前にいたのにワカナを助ける事ができなかったのだ。ユウもチュウニもその気持ちがわかるからこそ無理に元気付けようとはしない。だが、そんなケイジに一人の10歳ぐらいの少年が近づいていった。
「なぁ、ケイジのあんちゃん。オラ腹減った〜。何か食わせてくれ〜」
「あっ、だめだよD君。今ケイジ君に話し掛けちゃ。」
「なんでだ?元気がない時は、腹一杯飯を食うのが一番なんだぞ」
恐ろしく無邪気な顔でさらりと言ってのける少年D。この少年こそ、M島とJ月が彼らに同行させた秘密兵器なのである。
それは、M島、J月がはじめてチュウニたちの前に姿を現した時の事である。
「七瀬さん、知ってるの?この人たち」
「え?うん・・・まあね」
ュウニの問いに、珍しく歯切れ悪く答えるユウ。ケイジは2人の男にすごい勢いで迫る!
「それは誠でござるか!ワカナ殿は助かるのだな!」
「ああ、本当だ。とにかくまずはセンチストーンを見つける事だ」
あくまで冷静に切り返すM島。
「でもどうやって・・・」
「それならば心配無い、この子が君たちをセンチストーンのもとへ導くだろう」
そう言ってJ月が連れてきた少年。それがDだった。
「おっす、オラD!これからよろしくな!」
「フッ、よろしく、Dくん」
元気いっぱいの少年D。何故彼が必要なのか。
「この子はセンチストーンから発せられる<せつなさウエーブ>を感知する事ができる。それに万が一の時は「スーパーベルセルク」に変身可能だ。きっと君たちの力になるだろう」
つらつらとデタラメーズなことを説明するJ月。
「とにかくセンチストーンだ。これが無くては何も始まらない。私達は事情があって同行できないが、頑張ってくれたまえ」
まさか、旅費が無いからとは言えないM島とJ月であった。
(再び車内)
「ふ・・・ははははははっは!」
いきなり笑い出したケイジに驚くチュウニ。
「そうでござるな。いつまでもくよくよしていても仕方が無い!今は拙者達にできる事をしよう!そうと決まれば宴会でござる。さあ、大いに騒ごうぞD殿!」
「おう!」
「ちょっ、ちょっと!ここは電車の中だよ!やめようよ〜」
そんな3人をユウはとても優しい眼差しで見つめていた。
電車は進む。乗客のひんしゅくの嵐の中を。目的地は新横浜。Dが感知した第一のセンチストーンがある都市・・・。そこにはいったい誰が彼らを待ち受けているのだろうか・・・。
そこは暗い部屋だった。だが、わずかに人工の灯火がある。男が二人、佇んでいる。
「ふむ、一時はどうなる事かと思ったぞ。再生の光は何とか無事だったが、接触は避けられなかった。」
「問題ない。全て修正可能な範囲だ。それにわれらが目的にもどうしても必要なのだ<あれ>は。そして光と同調できる<セクンドゥム(二人目)><サードゥム(三人目)>達を探す事も・・・」
「全ては計画どうり、か。しかし誰だ、あの矢を放ったのは?」
「・・・・・・」
ここはBBS本部地下。無断建築の上、違法で他人の家から電気を拝借している秘密基地。その極秘シェルターのわずかな光の中で、ワカナは静かに眠り続けるのであった。
第十二話1998/07/24 05:31:06
蒐
「僕、ちょっと街の様子を見てくるよ」チュウ二は、ひとりそそくさと、市街の方へと歩き出した。チュウ二は、ちょっとばかりブルーだった。「綾崎の一族」との接点を持つケイジ。そして、あやしい中年2人組を知るユウ。
「なんだ、僕だけハブなんだ。僕もモンガーになっちゃおかなあ。だいいち(スーパーベルセルク)ってなんだろ。僕のペットの黒ネコのジジよりすごいのかなあ」
と、もう人生すべて悟ったかのような表情であるいていると、一軒のファミレスを見つけた。
看板がでている。でかい看板だ。
「いらっしゃいませ。Pia・・・」じゃなくて。「いらっしゃいませ。ボナサンにようこそ。」と書いてあった。とりあえず、チュウ二は、冷たい物でもと思い、Piaきゃ・・じゃなく、ボナサンへと足を踏み入れた。
チュウニはすまなそうに、店員を呼んだ。ひとりの少女がやってきた。
「ご注文はお決まりですか。」チュウニは、ちょうど小腹もすいてきたと思い。
「えっとコーラのご飯かけ」。「あっ上にアイス乗っけて。」「あと当然、旗たててね。」
その頃ケイジ、ユウ、Dの一行はといえば。駅を出たとたんDは「スーパーベルセルク」にこそならなかったが、「フライングモンガー」となり、何処かへと飛び去り、ユウは昼間から星の声が聞こえると、これまた、何処かへと行ってしまい、ケイジは駅前に座り込んで、犬と昼間から一杯やっていた。
そして、「貧乏がナンボのもんじゃい・ぶちかませモンガーダンス・商店街」地下本部では、いままさに神をも恐れぬ、いと恐ろしげなる、あることが行われようとしていた。
「じゃあ、ご注文繰り返させていただきま〜す。「ご飯のコーラかけ、上にアイスをのっけて、こちらはチョコミントでよろしいですか?」
「あっ、いや、バニラで。」
「はいっ。バニラで〜、その上に旗をっと、この旗は日本の旗でいいですか?」
「あっ、いや、ハーケンクロイツで」
「はいっ。以上でよろしいですか?それでは少々お待ちください。」
オーダーを終え、その時初めてチュウニはその少女の顔を見た。なかなかにかわいい顔立ちをした少女である。
「あっれ〜。どうしたんですか、お客サン。ぬボ〜っとして。あっわかった。私にみとれてたんでしょ。」
「あっいや、ちがうでござるよ」
ふいにケイジ語がくちをついて出てしまった。
「あっいや、ちがうんだ」
チュウニは赤面しながら、必死に弁解しようとしたが、彼女はそんな言葉は耳に入っていないかの如く、なにかを考えているようだった。
「どうしたの」
チュウニがたずねると、少女は静かに語った。
「昔、同じような言葉を使う男の子がいたの。私、彼との約束を破っちゃって。その後すぐにその子は、どこかへ行ってしまったの」
チュウ二は、その少年の名が、「ケイジ」とゆうのではないかと、たずねた。
「何で知ってるの」少女は聞き返した。しかしこんどはチュウニがそれを聞いていなかった
チュウニは愕然とした。また「ケイジ」なのかと。僕は深い話には絡めないのか。と。
なにはともあれ、チュウ二は少女に、ケイジに逢わせてあげると、少女を飴でつるかのように、拉致って・・・じゃなくて。チュウ二は、少女をケイジのもとへ連れて行く事にした。
ちなみに、その時ファミレス前に止めてあったバイクを拝借して、あまつさえ勝手に「ジェットモンガロン」と名づけ、カッ飛んだのは別のお話である。
約束した場所にはだれもいなかった。来る途中で「フライングモンガーD」を見たが、ほっといた。
チュウ二は、みんなを呼ぶためリミット技を発動させた。技名「OONaKi」つまり、「おじやを食って・俺が歌えば・なにがなんでも・キングストーン」と、ちょっとだけ、「センチストーン」に近いものであり、技の効果としては、当然の如くモンガー化することである。モンガー化したチュウニの「ゲッ・ゲッ・ゲ」とゆう笑い声なのだろうか、そら恐ろしい声に呼ばれるかの如く、ケイジとDがあらわれた。
「ああっ。あなたは。ホントに、ホントにケイジくんなの」
「アスカ殿」どうしてとゆう表情でチュウニを見るが、チュウニは、現実逃避のためか、まだモンガー化したままだった。
「ケイジくん」アスカが言いかけた時、チュウニとは、別の「ゲッ・ゲッ・ゲ」笑いが響いた。Dである。
「おっす、オラD。おめえ、センチストーン持ってるな」
「センチストーン?なにそれ?」アスカは知らないようだ。ケイジが続く
「D殿、アスカ殿は、どこにもそのような石は持っていないと、お見受けするが」
「センチストーンとは、普通の石ではない。センチストーンとは・・・」
「D」
その言葉をさえぎるように、Dの名を呼ぶものがあった。別に声を荒げている訳でもなかったが、その声には何物をも御する力のようなものが、感じられた。最初にその沈黙を破ったのは、ケイジであった。
「ユウ殿何か知っているでござるか。センチストーンとはいったいなんなのでござる」
ユウはケイジの眼を見つめると、少し考えてとてもすまなそうに、答えた。
「今はいえない」
「しっているなら答えてくだされ」
ケイジが声を荒げる。
「本当に今はまだ言えない。でもワカナを助けるには、センチストーンを集めるしかないんだ」
「拙者に選択の余地はないのでござるか」
一行は、一応アスカとゆう一つ目の「センチストーン」を見つけた。アスカも旅の道連れにと思ったが、「バイトがあるから〜」とゆう理由で断られた。だがバイトが休みになったらきてね。と指きりしてわかれた。
さあて、一行は次なる目的地を目指した。次にDが力を感じたのは仙台。どうもここから、かなり強い力が出ているらしい。新たな「センチストーン」をもとめて、一行は旅立った。
仙台 編
第十三回「夜空と星とUFOと・・・」1998/07/25 23:02:18
準備終了!しばらく書けないので書かせてください。JuJu
宮城県、杜の都仙台。自然豊かなこの街の民宿の一つにユウたちの姿はあった。
もちろん無事に・・・と言う訳でもなさそうだ。
「う〜ん・・・」「ううっ、でござる・・・」
チュウニとケイジが布団で苦しそうに唸っている。
「だらしね〜な〜二人とも。あれくらいでへばっちまったのか?」
「無理も無いよ、あれだけ食べれば・・・」
そう、事の起こりは少しでも旅費を稼ごうと、ケイジが大食い大会に出ようと言い出した事から始まった。参加したのはもちろん男三人衆。だが・・・。
チュウニは5人前でダウン。ケイジは10人前と健闘するがあえなくリタイヤ。そしてDは、軽く30人前を平らげ優勝をかっさらっていたのであった。
これで当面の資金は調達できたもののこのありさまと言う訳だ。
「今日は、星が良く見えそう・・・」
不意にユウがつぶやく。確かに今日は月明かりも強くなく、雲一つ無い。
「行って来いよユウ。でーじょうぶ、2人はオラが見てっから。じっちゃんから教わった胃薬でも作ってやるさ」
なんとも頼もしいD。本当に10歳なのだろうか?
「フッ・・・そう?それじゃあお言葉に甘えるよ」
嬉しそうにユウは外に出ていった。
「情けないでござる・・・」「うゥ、また僕は話に絡めないのか・・・」
優は絶好のウオッチングポイントを探して人気の無い静かな高台まできた。ここならば誰にも邪魔されず星を見れそうだ。だが、どうやら先客がいたようである。
それはまだ多分に幼さを残す可愛らしい少女だった。髪の毛を二つに束ね、ブルーのボンボンをつけている。少女は夜空を見上げ、まるで祈るように何かをつぶやいていた。
「べ・・ラー、・ントラー。・ねがい・・です。うちゅ・・さん・・」
ここからでは何を言っているのか良く聞き取れない。もう少し近づこうとした時、どうやら少女もユウの存在に気づいたようであった。
「だ、だ〜れ〜?」
少し驚いたように、恐る恐る可愛らしい声で問いかける少女。
「・・・ごめん・・・驚かせちゃったみたいだね」
素直に謝るユウ。相手が同世代の女の子だと分かり、少女は少し安心したようだ。
少女はエミルといった。幼く見えるがユウと同い年らしい。精神年齢も見かけどうり幼いようだが、ユウは不思議と好感が持てた。そう、とてもピュアなのだ。恐いほどに。ここまで素直に自分の気持ちを表現できるものはそういないだろう。彼女たちが仲良くなるのに時間など関係なかった。
「ふ〜ん。じゃあユウちゃんは星を見にきたんだ〜」
「フッ・・・今日は降るような星たちの囁きを静かに聞けそうだったからね」
まるで昔からの友人のように打ち解けている二人。
「エミルも星を見に来たの?さっき空を見上げていたけど・・・」
「ううん、えみりゅんは星を見に来たんじゃないんだりゅん。・・・UFOさんを呼んでいたの・・・」
「・・・そうなんだ」
普通なら一笑に付しかねないエミルの言葉を自然に優は受け止めていた。
「でも来てくれないの。えみりゅん間違ってるのかな・・・」
悲しそうにつぶやくエミルに、ユウは優しく語り掛けた。
「フッ・・・エミル・・・。星たちの言葉が聞こえる?」
「えっ?」
「星たちの声。たくさんの声が歌を歌ってるんだ。私達の歌を聴いてって囁いてる・・・。」
エミルは夜空を見上げる。そこにはそれはそれはたくさんの星ぼしが輝いていた。その輝きはまるで歌のように心に染み渡って行く。
「・・・うん。うん!聞こえるりゅん!」
「私にはUFOとかは良く分からないけど、こんなにたくさんの星たちがいるんだ。もしかしたら、宇宙人もいるかもしれない・・・。エミルが、信じていれば、きっといつか答えてれるかもしれないね・・・。そう・・・、信じていれば・・・」
ユウの最後の言葉はまるで自分に言い聞かせているようであった。
「そうだよね!信じていればいつかキット!ありがとう、ユウちゃん!よ〜し、エミルがんばるりゅ〜ん!!」
「あれーっ!ユウじゃねえか!なんでおめえここにいるんだ?」
と、いきなり後ろからDが現れた。
「・・・D君。どうしたのいったい?」
少し驚いた表情で聞き返すユウ。エミルも同じだ。
「こいつからせつなさウエーブが出てるんだ。間違いねえ。それもさっきすごく強烈なもんだった。」
といってエミルを指差すD。エミルは訳が分からない。
「えっ?えっ?えみりゅんがな〜に〜?」
「フッ・・・そうか。・・・そうだったんだ」
ユウは今まで起こった事を、自分達がなぜ旅をしているのかをエミルに説明した。エミルは良く分からないまでも大体の事情は飲み込めたようだった。
「そうだったたんだ・・・。でもごめんだりゅん。えみりゅん一緒に行けない・・・」
「パパやママをおいて行けないし・・・それに占いではしばらく仙台から出ちゃ駄目だってでてたんだりゅん・・・」
悲しそうにうつむくエミル。けれどユウは優しく彼女の頭をなでた。
「ありがとう・・・。無理しなくて良いよ。でもエミルの力が必要になったらきっと呼ぶから。その時までは・・・」
「うん・・・うん」
そして二人は別れた。少しの間のお別れだった。別れ際、エミルはユウに向かって叫んだ。
「ユウちゃ〜ん!えみりゅん達友達だよね・・・ずっとずっと、ず〜〜〜っと!友達だよね〜〜〜!」
ユウの瞳が少し潤んだ。彼女は最高の微笑みで答えた。
満点の星空の輝きは、二人の心を優しく包み込んでいた。それは二人の天使の出会いの輝きでもあった・・・。
ユウたちが仙台にいる頃、ここBBS本部地下では、神をも恐れぬ所業が行われようとしていた。
ぴちゃ・・・ぺた・・・ぺた・・・。
「これはなかなか気持ちが良いものだなM島」
「ああ、最高だ・・・」
ぺた・・・ぴちゃ・・・ぺた・・・。
そう、それは世にもおぞましい行為。人の皮をかぶった悪魔の所業・・・ってあれ?
あのー、何をしていらっしゃるんですかお二人とも?
「むっ?なんだ、ナレーションか・・・。見ればわかるだろう?」
え、えーーと・・・なんでしょう?
「ふん、低能なやつめ・・・。<全身泥パック>に決まっているだろう」
・・・・・だいのおっさん二人が何を・・・・
「喝ーーーーーーーーーーーーーっ!!!おっさんではぬわぁぁぁぁぁああああいっ!!!」
・・・う・・うるせえ・・・セ〇スチャンかあんたは・・・。
「よいか!耳の穴かっぽじってよおおおおく聞けい!我々の落ち着いた口調、熟年を思わせる紳士的態度、文面だけでは分からぬかも知れぬが我らは・・・我らは・・・まだ20代なのだああああ!!!」
・・・・・・・うそ?
「うそではなあああああああああい!!確かに年齢よりはすこおおおおし老けているかもしれん。商店街の皆様に(笑って〇いともに出てみれば?)などと言われた事もあった。思えば長く苦しい生活だった。ただでさえビンボーなのに近所のガキどもにはおちょくられる始末。だからこそこうして少しでも事態の改善を目指しておるのだ!はあ、はあ、はあ・・・」
そこまでいっきにまくし立てるJ月・・・・だから泥パック?
「そうだ・・・・無料(タダ)だしな」とM島。
ってそこら辺の泥を使ってるんかい!?
「うむ」二人同時にうなずく。
もはやただただ涙するしかないナレーションであった。(良い子は真似しちゃだめだぞ)